ニュースを作る感覚、生み出す感覚

2017-05-19

 

マスコミから取材されることを目指すあなたへ。
きょうは、記者が取材していく過程の話を書きます。

 

記者が「仮説」や「仮定」する起点に

 

記者を取材に動かすプレスリリースに話ではありません。
報道資料や記者会見、プレスリリースなどから記者が取材に動くのは「動かされる」状態。
そうではなく、記者が自ら取材する思考とその過程を書いていきます。
記者が「仮説」や「仮定」を考える起点の話です。

 

記者は常に社会の何か、あるいは日常の何かに対して、変化を感じ取って取材に結び付けます。
例えば、最近の県内で〇〇の傾向があるかもしれない。
または、若者の意識が〇〇に変わってきたかもしれない。

 

この「しれない」を感じ取って、取材を進めて、真意を確かめていく作業。
これは昔から続く記者の取材方法です。
最近は、記者クラブに詰めてばかりで、報道資料やプレスリリースをさばかなければならず、
街に出て取材するようなことは少なくなりました。
義務で報道しなければならなかったり、横並びで「落とせない」取材が多くなってきました。
それでも、この「しれない」の真意を確かめる取材方法は、大事な時に使われています。

 

「企画記事」の切り口に

 

記者にとって大事な取材。
それは「企画記事(連載記事とも言いますが)」の取材時です。

 

企画記事は記者にとって「やりがいのある仕事」。自分の考えで動き、素材を集め、記事を仕立てます。
普段のルーティーンから外れ、企画の執筆に専念できます。
企画記事は「緊急企画」もありますが、その多くは「緊急性よりも社会傾向」に焦点を当てますから、
新聞社内の上司に対して「いま書くべき意味」を納得してもらわなければなりません。
上司を説得し、読者に驚きを与える企画記事を書けた場合、記者の評価に大きな影響も与えます。

 

例えば、若者の最近の傾向について、何かの切り口で企画記事を書くとしましょう。
切り口は何かで、そろえなければなりません。
遊びや趣味といった軽い切り口で数回の企画記事に耐えられる厚みが出るなら、それもいいでしょう。
学校生活、SNS活用、部活動、非行、ファッション、恋愛、親への反抗、夢に向かう…何でもいいのです。

 

この企画記事を書く場合、上中下3回の場合もありますし、5回~10回の場合もあります。
執筆する中で、大切なのは「驚きのエピソードをいくつ盛り込めるのか」。
今まで世間に出なかった話をいくつ、拾い集めるのかです。

 

記者は日々のルーティーンの中で、常に企画記事を書く準備をしています。
最も大切なのは「エピソード」ですから、記者は常に「社会の意外な一端」にアンテナを張っています。
私は現役記者時代、取材のスケジュールを書き込むB5判の手帳を使っていました。
左側の「週のスケジュール」に、やらなければならない取材を書き、
右側の罫線だけのページに「企画記事」のきっかけになる疑問、エピソードなどを書き込んでいました。

 

私はこの疑問やエピソードから「〇〇かもしれない」という線を仮定して、
それが正しいのか誤っているのか証明するために取材していきました。
その通りであれば、仮定があっていたことになります。
そうでない場合は、仮定を超える驚きも含めても路線を変更して新しい企画記事にしていけます。

 

プレスリリースにエピソードを入れる

 

こうした記者の行動を今度はあなたの目線から見てみましょう。
記者が求めているのは、日々こなさなければならない「義務の取材」ではありません。
マスコミ他社と横並びの取材は、記者にとって何の評価にもつながりませんから。

 

そうではなくて、企画記事の起点となるエピソードを伝えてあげた方が、記者はあなたに興味を示すのです。
〇〇がこんなことを始めた。〇〇の動きに〇〇が対抗し始めた。〇〇の生活感が変わった〇〇の存在。
こうしたエピソードを盛り込んだプレスリリースはほとんどありません。
なぜなら、多くの会社や団体は、自分の主張や商品の機能の良さばかり伝えたがるからです。

 

記者が記事を生み出す、創り出すきっかけになるようなプレスリリースの方が、
後々まで「取材される会社」になるのです。

 

 

元新聞記者、テレビ局デスク
メディアコンサルタント・荒川岳志


Copyright© 2014-2017 メディアコンサルタント 荒川岳志 All Rights Reserved.