ベテラン記者が教える最も分かりやすいプレスリリースの書き方(保存版)

2017-10-26

 

新聞社とテレビ局で21年間、ニュース報道に携わってきたメディアコンサルタントの荒川岳志です。
テレビ局ではニュースデスクとして取材の指揮を執り、系列のキー局とも取材の連携、協力をしました。
今回は基本的なプレスリリース(またはニュースリリース)の書き方を伝えます。
プレスリリースは「決まった形式」が定められていません。基本的には自由なのですが。
一般的というよりも、分かりやすい(記者が理解しやすい)プレスリリースの書き方を示していきます。

 

 

プレスリリースはA4サイズ、縦置き、横書きで「7つの要素」

 

 

用紙はA4サイズを使ってください。用紙を縦に置いて横書き。これが基本(一般的)です。
プレスリリースに欠かせない要素(内容)があります。上から順番に書いていきます。

 

1 見出し
2 宛先表示   報道資料、プレスリリース、ニュースリリース、マスコミ各社、報道のみなさまへ
3 日付     マスコミに提示した日 西暦、和暦どちらでも
4 発信者表示  会社名、個人名、会社名と代表者名などスタイルは発信者次第
5 本文     リードと呼ばれる第1段落から第2段落以降
6 視覚情報   写真、図、イラスト、グラフ
7 問い合わせ先

 

以上の7要素があると良いでしょう。この中で6の視覚情報が無いプレスリリースもありますが後ほど解説します。
全体の構成は簡潔に。A4サイズ1枚に収めると、それほど書かなくても良いことが分かります。
大事な点は、思いが募って書き過ぎないこと。取材を判断する記者はプレスリリースを30秒で判断します。
書き過ぎて、文章ばかりになってしまったプレスリリースは読みにくいことを頭に入れてください。

 

参考までに、私が添削したプレスリリースを掲載します。

 

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1 見出し 1行15字から20字 2行から4行で

 

 

1行の字数は15字から20字がいいでしょう。
字数をそろえて2行から3行で書いてください。4行の方が分かりやすければ、それでも構いません。

 

1行はできるだけ短い方が伝わりますが、伝えたい内容は単純ではありませんから、20字程度でも仕方ありません。
ポイントは「記者の頭の中に映像が流れる文章かどうか」です。
業界用語だけで説明するのも避けた方が良いでしょう。記者は文字を映像化しながら読みます。
業界用語もある程度は知っていますが、私は経験上、読みやすさを重視しています。
独りよがりな文章にならないように気を付けて下さい。
字数をそろえる理由は美しさのためということもあります。
もう1つの理由は、最大文字数の見出しに他行も合わせた方が情報量が増えるためです。

 

中には「見出しが長くても伝われば良いだろう」と考える人もいるようです。
少し解説します。
マスコミ報道の記者は常に新聞を読んでいます。新聞の書き方が頭の中に染み付いているといってもいいでしょう。
その新聞記事は主見出しが長くても10文字、脇見出しも10文字以内が原則です。
プレスリリースの場合は新聞のような専門の書き方ではありません。
できるだけ「記者が読むリズム」に合わせた方が「記者の頭の中に映像が流れる」というのが私の考えです。

 

これは人間の心理や慣れということまで考えを及ばせた結果の文字数です。
スマートフォンを持つことが不可欠な時代になりました。
スマートフォンは通常、縦にして使うことが多いでしょう。その場合の文字数を数えてください。
設定によって文字数は変化しますが、通常は20字以内で収まるようになっています。
横文字を追う人の目が右から左に移る時、人間の心理として「疲れない」限度だと考えています。
新聞制作で昔は「横組みは最大20字まで」という決まりがありました。
これは経験上のものでしたが理にかなっています。

 

 

2 宛先表示 マスコミへの文書だと分かれば良い

 

 

宛先表示も決まったスタイルはありません。
私がプレスリリース制作を指導する場合、気を付けていることを書きます。
発信者とマスコミの関係がこの宛先表示にも表れると思うのです。
大企業から来るプレスリリースの宛先表示は「報道資料」「プレスリリース」などがほとんどです。
別に遜(へりくだ)る訳ではないのですが、私は「マスコミのみなさまへ」でも構わないと思います。
英語表記で「Pressrelease」などと記載している企業も中にはあります。
要は「報道の判断にしてほしいための用紙です」と分かれば良いのです。

 

 

3 日付 記者が届いた日付を後で確認するため

 

日付のスタイルも決まったものはありません。受け取った記者の手を煩わさせないためです。
年月日で示しましょう。
プレスリリースは外部に出さない資料として、記者が保存する場合があります。
今は書けないが後の取材の参考になる、といった場合です。大きな記事の参考に。
半年ほど経って引き出しから引っ張り出すことも希にあります。
西暦でも和暦でも表記は構いません。

 

4 発信者

 

 

発信者表示も決まった表現はありません。
しかし、誰が出したのかを示すための表記ですから、分かりやすく書いてください。
この発信者表記は、本文と最後の問い合わせ先にも連動します。
発信者表記が会社名ならば、本文は一般的な書き方になります。
また、問い合わせ先に担当者名を記入する必要があります。
発信者表記で会社名と代表者名を続けた場合は、本文の書き方が「一人称」でも書けるのです。
小さな会社が頑張ってこの製品を作った、頑張ってこの事業を始める、といった場合は「会社名と代表者名」ですね。

 

 

5 本文 見出しで書いたことを本文でも記載する

 

 

本文はとても大切です。特にリードと呼ばれる第1段落が。
先ほど、見出しの説明の中で「マスコミの記者は新聞表記が染み付いている」と書きました。
そのことを思い出してください。
記者は文章を常に「新聞形式の文章」のように読む習慣があります。
新聞の第1段落のような書き方をプレスリリースでもできたら最高です。
誰が、何のために、何を、どうしたのか。
ここまで書くだけで第1段落は終わります。

 

伝えたい思いがたくさんあるからと、第1段落を長く書くケースがあります。
私は添削でバッサリと削ります。
文章はリズムです。文章は読み手の息継ぎを考えながら書かなければなりません。
第1段落が長く、その中の一文が長すぎる文章を記者が嫌うと知ってください。
私が現役の記者やデスク時代、第1段落だけで取材するかどうかの大半を決めました。
すっきりと要点をまとめたプレスリリースの発信者なら、取材もスムーズだと記者が考えるのは当然です。

 

大切なのは「見出しとの整合性」です。
見出しで書いておきながら、本文のどこにもその表記が見つからないのはダメです。
見出しにしたことは、その意味が分かるように本文でも書いてください。
これは、新聞紙面の基本と同じです。
新聞の見出しはすべて、記事の中から取っていますから。

 

一文の長さはできるだけ短くしてください。
「、」でつなぎ合わせた長い文章は記者に嫌われます。例えばこんな文章です。

 

株式会社〇〇は〇日、〇〇の特長を持った新商品〇〇を会社発足〇周年の記念として〇〇に向けて発売することになり、しかも、その特典として〇〇を考え、マスコミのみなさまにお伝えします。

 

読むだけで疲れます。この文章のいけないところは「別要素が混在」している点。
第1段落にふさわしくない内容(後回しにできる内容)も入っています。

 

株式会社〇〇は〇日、新商品〇〇を発売します。〇〇に悩む高年齢者向けで、〇〇できるのが特長です。

 

文章を切れば切るほど、読み手の息継ぎが楽になると分かってください。
会社の何周年は、業界大手なら別ですが、第1段落に入れる必要はありません。
一般企業の節目がプレスリリースで伝える何かのきっかけであれば本文の最後に書くこともできます。

 

 

6 視覚情報 記者に30秒で理解させるための手段、一目瞭然になるように

 

 

視覚情報を軽んじてはいけません。大事な情報発信だと考え、上手に取り入れてください。
文字を追いながら頭の中で映像に変換するのが記者です。
視覚情報は脳内の別作業だと、私は考えています。
プレスリリースは30秒で判断されるイメージ図を掲載します。
写真や図、グラフに記者がどう目を配るのかの参考まで。

 

 

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視覚情報は本文を補足するだけではありません。
何かの統計をまとめた結果を出す場合、その伸びが急激だということがニュースポイントです。
それならば、グラフで示すと一目瞭然です。
本文はグラフをきちんと説明したものになるでしょう。

 

新サービスの発表がニュースなら、実際の映像はありませんが、会議写真を掲載できます。
誰がどのような場所で、どんな表情で話し合ったのかという状況を記者に分かりやすく伝えることができます。
百聞は一見にしかず、という言葉があります。その通りだと私は思っています。

 

さらに言えば、視覚情報としての写真は嘘を付きません。
プレスリリースを初めて出す会社や個人の場合、書き方が拙くなるのは仕方ありません。
誠実な気持ちが文章に表れ、写真で補足することで、記者の心をとらえる確率がぐっと高まると思います。
私の経験上、一生懸命に書いたプレスリリースは読めば分かります。

 

イラストも挙げましたが、これは未来の出来事で撮影できない場合です。
何がこうなって、こういう結果に結び付くというイメージを記者に知らせる場合に使います。

 

 

7 問い合わせ先 発信者が「確かな存在」で「いつでも取材に応じる」と知らせる

 

 

問い合わせ先も疎かにはできません。
プレスリリースをここまで読み進めた記者が最後に点検する部分です。

 

1 企業名
2 代表者名
3 所在地と郵便番号
4 固定電話番号
5 会社のホームページ(URLのほかに記者がインターネット検索する場合のキーワードを2つか3つ)
  http://=======  検索できます⇒ 〇〇 〇〇 というように。
  記者はURLを打ち込む時間がありません。
6 会社の代表メールアドレス
7 取材対応担当者名(必ず氏名とも表記を)
8 取材対応担当者のメールアドレス
9 取材対応担当者の携帯電話番号

 

問い合わせ先の記載事項の意味は、記者に対して安心感を与えるため。
「確かな企業です」「記者の問い合わせにいつでも応じます」と伝えるためです。
記者が取材で使う部分は7~9の取材対応担当者の部分です。

 

かつて、プレスリリース添削をした中に固定電話しか記載されていなかったことがありました。
株式会社ですが代表取締役だけの会社です。
私が固定電話だけ記載さしている理由を尋ねると「夜間は携帯に転送されますから大丈夫です」という返答でした。
しかし、これは記者の心理を考えていません。記者は固定電話が携帯電話に転送されることは知らないのですから。
必ず、携帯電話も記載してください。

 

 

最後に プレスリリースは記者しか読まない、チラシではない

 

 

最後に大事な点をお伝えします。
プレスリリースを制作(作成)する上で忘れないでほしいことがあります。

 

プレスリリースは記者しか読まない、ということを常に意識してください。
中にはチラシのように「商品説明だけに終わる用紙」をプレスリリースとして出している場合があります。
記者が欲しいのはニュースです。
ニュースとは「時代の変化の象徴」だと思ってください。
商品のプレスリリースでも「〇〇に対応した」ことが時代の変化の象徴で、ニュースの核なのです。

 

プレスリリースは取材判断をさせるための文章です。記者がこのまま記事や放送することはありません。
プレスリリースに掲載した写真も二次使用されることはありません。
記者が求めているのは「大きなニュース」です。時代の変化を象徴した出来事や動き、商品は取材されるでしょう。
必ず「ニュースに変換して」「記者の頭に映像を流す」ようにしてください。

 

 

元新聞記者、テレビ局デスク
メディアコンサルタント・荒川岳志

 

 

著書「新聞に必ず取材されて記事になるたった1つの方法」(太陽出版)

 

新聞に必ず取材されて記事になるたった1つの方法 荒川岳志著

 

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